野菜炒めは、炒め過ぎるとしなしなになり、火を止めるタイミングが早すぎると、野菜がまだ半分生の状態だったりします。
野菜炒めはシンプルで一見、簡単そうな料理に見えますが、実は奥が深くとても難しい料理のひとつです。
そもそも野菜炒めは強火でサッと炒めてこそシャキシャキに仕上げることができると言われてきましたが、その常識こそ、しなしなにさせてしまう原因だったことを、ご存じだったでしょうか。
野菜炒めをしなしなにさせない方法
野菜炒めは、牛ステーキとは違い、中まで火を均一に通す料理なので強火で炒めてはいけません。
それに、プロがつくる野菜炒めは予め、茹でたり素揚げしたりして、炒める時間をかけないように下準備をしています。
下茹でしたり素揚げしておくことで、炒めすぎによって焦げたり、しなしなにさせてしまったりを未然に防ぐことができるからです。
それに、中華料理店でよく出てくる料理と言えば「チンジャーロース」や「回鍋肉」ですが、どれも炒めた色が全くついていない状態を想像できるのではないでしょうか。
かつての中華の鉄人である(四川料理のスペシャリスト)陳建一さんも回鍋肉に使うキャベツは下茹でした方が仕上がりが良いと言われていました。
給食業界でも事前にスチームコンベクション(蒸し器)で野菜を蒸し、絞ってから、炒める作業に移ります。それに、炒める時間は味付けの段階のみです。
しかし、野菜を下茹でしたり素揚げしたりするのが面倒とか、栄養素が心配だと感じる方は、野菜を強火で炒めずに中火よりも弱い火力で炒めて、野菜の芯までじっくり火を通すように炒めると良いでしょう。
加えて、しなしなにさせない方法として次のようなことにも気をつけるべきです。
- 野菜の切り方を揃えて火が通りにくいものはやや小さめに切ること
- 人参などの一番火が通りにくい野菜は、なによりも先に炒めること(必ず中火以下)
- 肉や魚介類は、熱湯を通しておき、最後に入れて炒めること(水洗いでもOK)
しかし「肉から火を通すのが炒め物の基本」と、昔から言われているじゃないか。と思う方もいるかもしれません。
しかし、肉や魚介を最初に炒めると、肉がちぎれたり、肉同士でくっついたり、野菜より先に火が通ってしまい炒めすぎて固くなったり、縮んで小さくなったりしてしまいます。
それに、肉や魚介類に予め熱湯を通しておくことで、
- ほぐれやすくなる
- 炒めたときにでてくる臭みや汚れの原因となる白いつぶつぶしたようなもの(あく)を取り除くことができる
このようなメリットがあるのです。
野菜炒めをべちゃべちゃにさせない裏技
更に、野菜炒めに水分が出てべちゃべちゃにならないようにする為、
- 調味料を最後に入れること
- 炒める前の野菜に水分が残っているようであればザルで水分をしっかりきること(下茹でした際は軽く絞ってから炒めること)
これらの内容がポイントになってきます。
調味料に含まれている塩分の働きによって、野菜の水分が外に排出する時間をなるべくかけないようにさせる為です。
それでも水分が出てしまったときの裏技としては、片栗粉がとても優秀になります。
片栗粉は水で溶かさずとも、とろみをつけたいものにパラッと振りかけ手早く混ぜることでダマができずに水分と調味料をまとめて材料に絡ませることが可能です。
炒めず茹でずシャキシャキにする裏技
更にもうひとつ裏技を紹介します。
「フライパンが小さくて野菜を炒めるとコンロに落ちていくのがイヤ」
「茹でたりするのが面倒臭い」
「栄養が逃げそうで心配」
という方は、火力の高いトースターであれば全ての野菜を一度にたくさん入れて焼いてもシャキシャキな状態で火を通すことが可能です。
それに、炒める必要がないのでほったらかしでOK。
いちばん火の通りにくいものが上(人参や玉ねぎなどが一番上で肉が一番下)になるようにして、蓋をしてあとはグリルの280℃の10分焼いてザルにあげ、グリルパンに移しなおして味をつけるだけ。
具材が多いとフライパンで炒める途中どうしてもコンロに落ちてしまい、掃除が面倒ですが、この火力の高いトースターで焼くことで、コンロに落ちてしまうような心配はありません。
それに、下茹でしたときと同じシャキシャキの状態で火を通すことができ、茹でるよりか栄養を逃がす心配もいりません。
もし、野菜の水分が出て、ざるにきりたくない方は、フライパンに移して片栗粉で野菜の水分を具材に絡ませても良いでしょう。
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